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「べ、べつに、羨ましいなんて思ってねぇし!」
「………は?」
何故か焦った様子であたふたする堺の口から出た台詞はごく普通の返答……なのだが。
まさか。
そんな疑惑が誠の頭を掠める。
「俺を見るな!…そんな目で見つめられたら、興奮すんじゃねぇか…っ!」
「「「……………」」」
「おおおま、…………ガチできめぇっ」
教師からの変態発言に、黙って目を瞑るなどもちろん出来る筈もなく
「先生にそんな趣味があったとは僕も思いませんでした」
心から引いてしまう誠を余所に、遠回しに幻滅しましたと告げている慎也を見て、またもやげんなりとした気分になる。
「うわっ先生変態なの…?」
次々に飛び交う冷たい言葉攻めに、堺は身をくねらせながら喜んだ。
「けっ!こんなもん屁でもねぇぜ!あの日の…あの時の佐藤に比べれば…」
ねっとりとした視線を誠へ送りながら、恍惚とした表情を浮かべる堺。
そんな堺を引きながらも黙って静観していた少年は、次にじっと誠を見つめた。
……疑惑の眼差しで。
「…俺はなんもしてねぇ」
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