1728人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんだ。明日とか言ってたくせに。つかさぁアンタ名前なんなの?先輩に名乗らせといて自分は言わないってなしっしょ?」
冗談じみて言ってみると黒髪は割とすんなり応えてみせた。
「小澤時雨」
逆光の所為で良く見えなかった顔は確かに少し照れていた。
綺麗な黒髪に切れ長の黒目。背丈も世繋よりも弱冠高い。顔は言わずもがな、かなりのイケメン君。
さぞや女の子にモテモテなんだろぅとつくづく思う。
あまりにも情熱的(?)な目線に時雨も首を傾げた。
見つめ過ぎた!
と後悔しつつ目を反らして顔の目の前で手を合わせた。
「いったたぎます!」
シュークリームの袋を勢い良くあける。
すると隣にストンと腰を降ろした。
「・・・。あ、食べる?」
隣のイケメン君に食べかけのシュークリームを差し出した。
「いらない。」
「あっそぅ。つぅか、先輩には敬語つってんだろ」
ヘラヘラしていてもチャッカリ上下関係を意識している世繋。
「はいはいっと。三神先輩」
「はいは一回で結構です。・・・あ、なんで俺が敬語な訳?」
クスリ。と時雨が笑った。
形のいい顔が尚も格好よくなった。
(コイツ、笑ったら可愛い)
またもじっと顔を見てしまったらしく時雨は不快な顔をした。
「なんスか?」
「あ、いや。別に・・・」
あんな事言えねぇだろ。
するとピットリと右頬に時雨の綺麗な指が当たった。
「クリーム、ついてますよ先輩」
口元のクリームを指で拭いそのままぺろりと舐めた。
最初のコメントを投稿しよう!