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「あれは飲み会の席だからだよ」
飲み会でどれだけ盛り上がっても僕にはここからの経験が少ない。他に誰かがいる飲み会と違って、自分でトスもアタックも決めなくてはいけない1対1のメールは辛いものがある。まごまごしているうちに飽きられるのが目に見えてしまい、最近では挑戦することすらほとんどなくなってしまった。
「あの子たちは明日にもまた飲み会が開かれて他の男と深い仲になるかもしれないよ。そうなる前に早めの行動が大事なんだ」
「わかった。じゃあ明日誰かに送るよ」
「早めの行動だよ。もっと積極的に動かなくては」
「とにかく今日はもう休みたいんだ。明日、必ず送るから」
「わかったよ、必ずだね」
苦笑を返すとボーガスの姿はもうなくなっていた。少し寂しい気持ちでシャワーへ向かう。
彼が恋路に口を挟むようになったのは僕が中学にあがった頃からで、最近は特に激しくなってきている。もう子供がいてもおかしくない年なのだからと、母ですら言わないようなことを言い出す始末でこの頃は苦い思いをしているのが正直なところだ。まったく面倒な幻覚があったものだ。
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