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「こんな物しか出せずに申し訳ございません」
「いえいえ、こちらこそ
突然押し掛けてしまいまして申し訳ありません」
村人に連れてこられたのは水鏡と呼ばれる人物の家(私塾)だった
水鏡さんは聡明で温厚な女性で、私塾に通う何人もの子ども達に慕われていた
何でも、学問の良さを知ってもらうため地方をまわり、各地に私塾を開いては後任を育て、また各地をまわると言う生活を繰り返しているらしい
「そう言って貰えると幸いです」
水鏡さんはそう言ってニッコリと笑った
「そういえばまだ名乗っていませんでしたね
私、姓は司馬、名は徽、字は操徳、号は水鏡と申します
以後お見知り置きを」
「そうかい、せっかく名乗ってもらってところ申し訳ないんだが・・・・」
「はい?」
「実は、名前を捨ててしまってな・・・・
教える事が出来ないんだよ」
楽進にもそうしたが、ローエンガードと言う名は明かさない
ローエンガードは、あの日、あの時、あの場所で確かに"死んだ"
死んだものの名前を名乗る何ておかしな話だろう
「・・・・そうですか
わかりました深くは問いません」
「お心遣い、感謝します」
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