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「行ってきます!」
紅子は普段よりもっと元気に挨拶して学校へ行く。
なぜなら…
『今日で16歳かぁ…。やっぱり15歳までとは一味違うよねッ』
そう、今日は4月13日。紅子の16歳の誕生日だ。
普段は小説家として多忙な母が自分を祝ってくれるために食事を作ってくれたり、何かと時間を割いてくれる。
なので紅子は人一倍誕生日を楽しみにしていた。
気分がいいと周りまでいつもと違って見えてくる。紅子は鼻歌まじりでふと脇にある公園にたっている時計を見た。すると時間は…
「8時20分!?ち……遅刻だぁぁぁぁぁぁ――――!!!」
そう叫ぶと紅子は学校へ全力疾走し始めた。
学校は8時30分からなのだが、紅子が今いる所からは歩くと20分はかかる。
余裕で遅刻だ。
『そりゃ昨日なかなか寝つけなくて寝坊しちゃったけど、こんな時間になるなんて;』
翌日の楽しみで興奮して眠れなかったという小学生並の理由だ。
心の中で半分泣きながらも、走るスピードは落ちない。中学から空手で鍛えているため体力には自信があるのだ。
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