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荒夜の印象を改める紅子。
外見・口調は冷たいが、わざわざ紅子の目が覚めるまでずっと様子を見ていてくれたのだ。
紅子がその優しさにちょっぴり感動していると
「じゃあね」
荒夜はさっさと公園を出て行ってしまった。
「あ、お礼言ってない…‥」
紅子がそれに気づいたのは、荒夜が全く見えなくなった後だった。
* * * * * *
キ―ンコ―ンカ―ンコ―ン
4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。私立神楽高校には学食があるので、昼食時にはそこを利用する生徒が多い。
そんな生徒たちの波の中にそれに逆らって教室に進もうとする紅子の姿があった。
やっとの思いで教室に着いた紅子は後ろの席である小学校からの親友―藤波ケイに声をかけた。
「おはよッ」
「『おはよッ』じゃないよ!今何時だと思ってんの?」
「アハハ…‥;」
ケイの剣幕に乾いた笑いしか出てこない紅子。
「授業サボるのはいいけどさ、メールくらい返してくれてもいいんじゃない?」
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