海辺の小屋

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賀来巌は、一人ぼんやりと海を眺めていた。賀来が目覚めた時、一夜を伴に過ごした男、結城美知夫の姿はもうなかった。 ーやはり、私達はあの時死すべきだったんだ。あの島で死んでいれば…。私も結城も罪を重ねることもなかったのに。 賀来は静かに目を閉じ、波の音に耳を傾けた。賀来や結城の居た島でもよくこうして耳をすまして聴いたものだった。賀来の脳裏に懐かしい島の風景が広がった。
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