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「悩み事か・・・」
そう言いながら沖田は先ほどのクラスの名簿を眺め始めた。やはり目に止まったのは三屋俊哉の名前。
「家族が居ないか。じゃあ今は誰と住んでるんだ・・・」
「気になりますか?三屋のこと」
沖田が顔を上げると目の前のデスクの教師、村岡がこっちをじっと見ていた。黒縁ビン底眼鏡がトレードマーク。
「わっ!村岡先生驚かさないでくださいよ。」
「いや失礼。沖田先生があまりにも三屋の名前を見ていたものですから気になりましてね」
「あぁそうですか。しかし三屋君、不思議な生徒ですよね。昔からああなんですか?」
「昔は明るくて活発で、クラスの中心的な生徒だったんですがね。家族を失ってから真逆な性格になってしまって。今は親戚に引き取られたって話です」
「そうなんですか」
「でもあまり変な詮索はしない方が身のためですよ。私らは単なる教師なんですからね。」
「そ、そうですよね。」
「三屋のことは担任の安倍先生に任せておけばいいんですよ。こっちから変なお節介かけること無いですって」
「ははは・・・」
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