4/9
前へ
/17ページ
次へ
_________ 『わーー!』『来たぞー!!』『勝てよ!オモチャ!!』 うるさいな… 「最悪な目覚ましだ」 小さく言うと立ち上がった。 地面は固い砂に覆われ、すり鉢状の観覧席にすわる目が血走っているサタン、人の丁度真ん前には壁に埋め込まれた檻があった。 心は不思議と落ち着いていた。 そして辺りを見渡す…武器らしき物が人の後ろの壁に掛けてあった。 おもむろに刀をとった。 『武器を持った!!早く始めろ!』 観覧席からスタートを急かすサタン。 『初め!!』 何処からか急かされたアナウンスの声が流れた。 同時に鉄格子が上にあがる…少しずつ、だが確実に…。 檻の大きさはちょっとしたビルのようだった。 鉄格子の上がる音がやけにうるさく聞こえた。 観覧席の化け物はきみが悪い程に静かにしている。 そのおかげで、人は時間が止まった感覚さえ覚えた、それほどの長い時間。 ついに、檻が上がりきった音がけたたましく鳴る。 またもや静寂。 ドクンッ ドクンッ 何故だか、人の心臓が高ぶる…極度の緊張。 大きく、固く、重いものを地面を割る勢いで叩きつける音が響く。 その正体が見えた。 足、獰猛な鋭い爪 腹、引き締まった硬そうな皮膚 顔、肉を切り裂く牙を見せる…人は笑っているようにさえ見えた。 それは、博物館でしか見たことが無い…。 レックス… 通称 ティラノザウルス。 (俺は…こいつに勝てるのか…?) ドクンッ ドクンッ
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加