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『わーー!』『来たぞー!!』『勝てよ!オモチャ!!』
うるさいな…
「最悪な目覚ましだ」
小さく言うと立ち上がった。
地面は固い砂に覆われ、すり鉢状の観覧席にすわる目が血走っているサタン、人の丁度真ん前には壁に埋め込まれた檻があった。
心は不思議と落ち着いていた。
そして辺りを見渡す…武器らしき物が人の後ろの壁に掛けてあった。
おもむろに刀をとった。
『武器を持った!!早く始めろ!』
観覧席からスタートを急かすサタン。
『初め!!』
何処からか急かされたアナウンスの声が流れた。
同時に鉄格子が上にあがる…少しずつ、だが確実に…。
檻の大きさはちょっとしたビルのようだった。
鉄格子の上がる音がやけにうるさく聞こえた。
観覧席の化け物はきみが悪い程に静かにしている。
そのおかげで、人は時間が止まった感覚さえ覚えた、それほどの長い時間。
ついに、檻が上がりきった音がけたたましく鳴る。
またもや静寂。
ドクンッ
ドクンッ
何故だか、人の心臓が高ぶる…極度の緊張。
大きく、固く、重いものを地面を割る勢いで叩きつける音が響く。
その正体が見えた。
足、獰猛な鋭い爪
腹、引き締まった硬そうな皮膚
顔、肉を切り裂く牙を見せる…人は笑っているようにさえ見えた。
それは、博物館でしか見たことが無い…。
レックス…
通称
ティラノザウルス。
(俺は…こいつに勝てるのか…?)
ドクンッ
ドクンッ
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