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『ギィィン!』
硬い皮膚と刀がぶつかる。
思わず人は仰け反る…、レックスはその隙をつき、バックステップで激しく尾を人の腹にぶつける
人は水切りの石の様に飛んでいき、地面を転げ停止した。
「うっ、オエッ」
激しい吐き気と闘う中、凄まじい攻撃を受け、骨が折られて無い事にしばし驚きだった。
「硬いっ」
(でも…やるしかない!)
下段に刀を構え、そのまま突進。
レックスは迎え撃つ、鋭い爪が人を襲う。
「ラアァアッ!」
人は刀を降りかざし爪と激しく交差する。
ガギンッ!
金属を擦り合わせたような嫌な音がなり、人はオモチャの様に吹っ飛ぶ。
(反応もなかなか速い…ヤバイな)
少し、ネガティブさが出てきてしまった。
「くそっ!まだだっ!!」
半分は自分に言い聞かせる様に、声を出すと、刀をまたもや下段に構え、レックスに突進する。
レックスは堂々と立ち、人の攻撃を待ち構える。
「せいっ!!」
ギンッ!
右下から左上に降り上げた刀は、レックスの硬い皮膚によって弾かれる。
レックスは刀を弾かれる瞬間を突き、人に爪を容赦無く振るう。
ブンッ
「やっぱりカウンター狙いだったか」
紙一重、バックステップで爪を避け、素早く切っ先を上段に構え、屈んでいる体制のレックスの眉間に勢いよく刀を刺した。
グッ
『ギャオォォオオォ!!』
レックスの怒りの咆哮は、観客席にいるサタンを黙らせるには十分過ぎる威力だった。
「はあっ!はあっ…20CM位いった!」
一見レックスの顔に刀が生えている様に見える。
レックスは痛いのか、刀を抜こうともがくが、意味を為さなかった。
人の心は『死』の暗黒が『生』の光に変わりつつあった。
「いける!!」
人の顔が少し緩む。
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