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「ねえ千鶴ちゃん、僕最近熱っぽいんだよね。測ってくれる?」
沖田は自分が最近病気気味なのをいいことに、そんな事を言い始めた。
千鶴は「本当ですか!?」と騙されていることに気付かず、沖田の元に駆け寄ろうとする。
そこで沖田の意図に気づいていた土方が止める。
「待て、そいつのは嘘だ。総司!タチ悪い嘘ついてこいつを騙すんじゃねぇよ!お前もその嘘にほいほい騙されるんじゃねぇ!」
土方の怒声に千鶴はビクッと体をこわばらせる。
沖田はいつも通り飄々としていた。
「す…すみません…。」
「ひどいなぁ、土方さん。僕は嘘なんてついちゃいませんって。」
沖田の当てにならない弁解を無視して、土方はさらに言葉を続ける。
「平助!」
「ぅあ!おれっ!?」
なりゆきをぼーっと眺めていた平助はまさか自分の名前が呼ばれるとは思っていなかったらしく、土方の口から自分の名前が出たことに目を丸くした。
「お前以外に誰がいるんだよ。熱があるんなら今日は休め。巡察中に倒れられちゃ命にかかわる。千鶴、今日はこいつを看ててやれ。」
その言葉に千鶴は一瞬鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした後、笑顔で「はいっ!」と元気よく返事をした。
平助もなんとなく体がだるくなってきていたことに気づいたので土方の言葉に甘えることにした。
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