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「っくし、っくしゅ!!!!!」
「平助君、大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫!」
皆がお膳を前に朝食をとっていた時、平助が滅多にしなさそうなくしゃみをした。声もどことなく鼻声に聞こえる。
「なんだ、平助風邪引いたのかぁ?もしかして昨日のが原因なんじゃねえ?」
永倉が何気なく口にした言葉に土方の眉がピクリと動く。
原田が隣で「馬鹿…」とつぶやいたのは、昨日の出来事によって土方の部屋の障子に穴があき、鬼副長の雷が落ちたからである。
しかもまだ土方の怒りは収まっていないらしい。
―…
昨日は朝から白い雪が降り積もり、見事な銀世界を作り上げていた。そしてそれを見た平助、原田、永倉の三人は千鶴を誘って境内で雪合戦を繰り広げたのである。
その際千鶴と組んだ平助は千鶴を守りつつ敵二人に大健闘したものの、最終的に永倉と原田の策略によって頭から雪を被り、ずぶ濡れになったのだった。
―…
「大丈夫だって千鶴ちゃん!平助は風邪なんて引かねえよ!」
土方の眉が動いたことに気づかない永倉はニカッと笑ってそう言った。それに平助が反論する。
「新八っつぁんと一緒にすんなよ!」
「そうだぞ新八、お前は風邪を引かない系だろ?むしろ風邪がお前から逃げてくだろうが。」
原田も便乗し、昨日も言っていたことを言う。それに沖田が加わってきた。
「あははっ、左之さん面白いこというなぁ。まさにその通りだけど。」
沖田が笑っているのは腹の中で『馬鹿は風邪を引かない』という言葉を浮かべているからだろう。
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