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なのにあの餓鬼はそれから毎日来た。
陽が傾いてから夕焼け色に変わるまで。
さすがに雨の日にゃ来なかったが、それ以外は欠かさず来た。あの可笑しな素振りをしに。
それが何日目だったのかは覚えて無い。だけど、ある日その餓鬼に話し掛けられた。
「お兄さん剣術習ってるの?」
大きな瞳で真っ直ぐ俺を見上げてその餓鬼は言った。
「だったら何だって言うんだ?」
言いたい事は分かる気がした。
だが認めたく無かった。俺は餓鬼の相手は嫌いだ。
素っ気なくそう言うのも構わず、その餓鬼は俺に頭を下げてこう続けた。
「お願い!教えて下さいっ!!」
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