‐‐‐出逢い‐‐‐

5/7
前へ
/64ページ
次へ
「ちげぇな。なってねぇ」 ガチンと竹刀の当たる音が鳴る度に俺は言う。 餓鬼の相手は嫌いだ。だがこの餓鬼は……。 俺に頭を下げたこの餓鬼は、まだ十一(歳)だと言う。しかも女。 「女の分際で何故剣術を?」 そう訊ねたのは三日前。餓鬼が頭を下げた日だ。 「……助けたいから」 下を向いたまま餓鬼が言った。 だから初めは何て言ったのか分からなかった。 「力になりたいんです。みんなの」 拳を握りしめ、泣きそうな声で言う。 だが顔を上げたその目は乾いていた。 そして真っ直ぐ俺を見据えて来た。あの大きな瞳で。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

167人が本棚に入れています
本棚に追加