ふたつめの飴

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朝からよく晴れていた。 まだ5月も半ばだっていうのに、汗がしたたり落ちるくらい暑い。 特に教室は熱気ムンムンだ。 言い訳がましいけど、これは僕が太っちょだから暑がっているわけじゃない。 隣に座る岩ちゃんも暑い暑いとヒーハー言っている。 イワちゃんが、ヒーハー(ワンピース)。 え? 太陽? 彼はまったくもって暑がっていない。 冷え症なんだよ。きっと。 ちなみに今、太陽はベランダにいる。 毎朝の恒例、鳥と戯れタイムを堪能中だ。 不思議なことに太陽の周りにはいつも鳥がやってくる。 小さい鳥から大きな鳥までより取り見取りだ。 今日もそんな鳥たちに、太陽は餌をあげている。 僕はその様子を眺めながら、ポケットの中の飴を服の上から確認する。 大丈夫。 ちゃんと3つある。 もう昨日みたいな失敗はしないぞ。 「太郎、昨日はどこいってたんだ?」 横からひょいっと顔を突き出したのは、岩ちゃんだ。 昨日、掃除を押し付けたままだったことを思い出した。 .
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