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うわわわ。
こんなところで真里ちゃんに会えるなんて、思いもしなかった。
正直な気持ち、今すぐにでも昨日のことを謝りたかった。
バッグを奪ってしまったこと、寝ている真里ちゃんを起こさず帰ってしまったこと。
数々の失礼を詫びたい。
だけど
彼女に会ったのは昨日の僕であって、今日の僕ではない。
今の僕が急に真里ちゃんの前に飛び出して謝罪をしたとしても、彼女は意味がわからず困惑してしまうはずだ。
……あ。
そうだ。
僕はポケットの中に手を突っ込み、中身を確認した。
今使わないで、
一体いつ使うんだ。
おばあちゃん。
今日は有効に使うよ。
ジップロックを開け、中からひとつ真っ赤な飴を取り出す。
妙にテカテカしていて、いつみても不気味だ。
僕はそれを喉の奥に投げ込み、鼻をつまんだ。
だって、臭いから。
昨日で学習したんだ。
この飴は、驚くほど臭い。
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