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胸が苦しかった。
大好きな真里ちゃんとベンチに座っているなんて、まるで夢のようだ。
僕が幸せの余韻にどっぷり浸っていると、真里ちゃんが僕の顔を覗き込んだ。
「うわわわわっ」
真里ちゃんのドアップ。
色んな穴から大切なものが飛び出しちゃいそうだよ。
「昨日は大丈夫でした?頭、相当強く打ちましたよね?」
「ああ、はい。打ちました。でも大丈夫です。今はこのとおりタンコブになりましたから」
タンコブになれば平気、と誰かから聞いたことがある。
あれから一度も吐き気はないし、順調に回復している証拠だ。
「そうですか。本当に良かったです」
彼女はホッとしたように表情をゆるませる。
こんな見ず知らずの僕にまで優しくしてくれる。
彼女はやっぱり天使だ。
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