10973人が本棚に入れています
本棚に追加
/314ページ
公園に静寂が訪れた。
僕が飴を口にしてから2時間ほど経っている。
……あと1時間。
真里ちゃんと過ごせるタイムリミット。
「そろそろ帰りましょうか?僕、送っていきます」
彼女は少し考えるようにうつむき、はい、と小さくうなずいた。
僕が立ち上がるとベンチが軋む。
……お疲れさま、ベンチさん。
見た目は変わってもきっと重さは僕のままなのだろう。
きっと重かったよね。
僕が愛おしそうに茶色のベンチを撫でていると、真里ちゃんは隣でくすりと笑った。
だから僕も笑った。
彼女の笑顔が見れて嬉しかった。
.
最初のコメントを投稿しよう!