ふたつめの飴

47/59

10973人が本棚に入れています
本棚に追加
/314ページ
数秒後、再び足が飛んできた。 僕はサッカーボールのように蹴りあげられ、その勢いで仰向けになった。 「はぁはぁはぁ」 息が苦しい。 鼻血が口にまわり、口内中鉄の味がする。 唾液にまったりと絡みついた血が、ますます僕を息苦しくさせていた。 「もっとやろうぜ。ギャハハハ!!」 慶次が余計なことを言う。 この地獄はまだ続くのか。 僕は泣き出しそうな気持ちを堪え、空を仰いだ。 その時、政宗たちが何かに気づいた。 公園の隅にあるトイレを指差し、何やら話しはじめた。 そのおかげで、僕に対する拷問が一旦止んだ。 ……良かった。 口に溜まった唾液と血を吐き出す。 うまく吐ききれなくて、だらしなく口から垂れてしまった。 「……やべえ。確実にこっち来てんぞ」 「嘘だろ?誰か知り合いじゃねーのかよ」 「人違いじゃないのか!?あいつらそんなに強そうに見えないけど」 「バカ!!聞こえたら殺されるぞ。西高(サイコウ)の細目トリオっていったら、知らねー奴はいねえくらい有名なんだよ!!」 ……西高? 僕の通っている高校だ。 正式名称は西園寺高校。 さいこう、と呼ばれている。 僕の高校の細目トリオといえば、 思い浮かぶのは昨日会った彼らしかいない。 だって彼らほどの細目は珍しいから。 それに、トリオだったし。 .
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10973人が本棚に入れています
本棚に追加