ふたつめの飴

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ズッズッズ。 足を擦る音が聞こえる。 僕は残る力を振り絞って、何とか首を横に向けた。 僕の通う西高の上履きが、6つ見えた。 ……なぜ、上履きなんだ。 ここは外なのに。 「おうおう。カラスの皆さんごきげんよう!!」 聞いたことのある声だった。 昨日僕にお漏らしを暴露したリーダーに間違いない。 「こ……こんにちは」 「3人そろってどこに行くんでしょうか?」 武将たちの声がうわずる。 間違いなく細目トリオに怯えている。 「ちょっとトイレ休憩してたんだよ。てかお前らこそ、こんなとこで何してんの?」 ご機嫌なのかリーダーの声は弾んでいる。 きっとあれだ。 今日は漏らさずに済んだんだ。 「僕たちは……そう、バードウォッチングをしていたんです。この公園、珍しい鳥がいるみたいなんスよ」 ……珍しい、鳥? そんな嘘、誰が信じるんだよ。 .
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