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てっちんの思わぬ発言に驚いたのは、僕よりも武将たちだった。
まさかたまたま暴行した人間が有名トリオの仲間だったなんて、不運にもほどがある。
ていうか“有名トリオ”って何だかお笑いみたいだ。
痛みはまだ続いているけど、彼らのおかげで僕は少しだけ気持ちが元気になった。
「テメーら、覚悟はいいな?」
地響きにも似たてっちんの声。
冷静だからこそますます怖い。
「ゆ、許してください」
政宗が謝る。
今にも泣き出しそうな顔だ。
「まさかお知り合いだなんて思いもしませんでした!!すみません」
幸村や慶次たちもペコペコとバッタのように頭を下げている。
他のふたりは抱き合って震えている。
……終わった。
試合終了だ。
謝ってくれれば、僕はそれで良かった。
暴力は痛いし、血は怖い。
これで終わりだと安堵の息をつくと、てっちんが僕を見た。
そして訊いた。
「名前は何だ」と。
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