ふたつめの飴

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……名前? 一瞬意味がわからなかった。 だけど明らかに僕の名前を訊いている。 「太郎です。太郎っていいます」 喋るたびに口の中の血と唾液が混ざり合って、気持ちが悪かった。 「太郎か。いい名前だな」 てっちんは満足そうに頷き、 「マーボー、ひろりん、俺ひとりでやるから手出しすんなよ」 と仲間たちに言った。 どうやら金髪がマーボーで、オールバックがひろりんらしい。 ……なぜみんなあだ名なんだ。 そんな疑問が頭に浮かんだ。 てっちんは大きく深呼吸をしたあと、素早い動きで政宗の前に移動した。 僕には瞬間移動をしたとしか思えないくらいのスピードだ。 「これは、太郎ちゃんの分!!」 大きな拳が政宗の顔面を捕らえた。 そのまま政宗が後ろに吹っ飛ぶ。 ……あわわわ。 すごく痛そう。 次は慶次。 「これはマーボーの分!!」 今度は足が出た。 慶次のお腹にクリーンヒットし、彼も人形のように吹っ飛ぶ。 「これはひろりんの分!!」 「これはてっちん(俺)の分!!」 続けて残りの2人もやっつけた。 残るはひとり。 ATSUSHIが真っ青な顔で震えている。 ……待てよ。 細目トリオは何もされていないじゃないか。全部僕の分じゃないのか。 .
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