ふたつめの飴

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ここはひとつ大人になろう。 否定したって仕方がない。 「うん。ありがとう。これからは気をつけるよ」 何を気をつけるっていうんだ。 自分で言いながら疑問だ。 「またこういうことあったら、俺たちの名前出しちゃっていいからな。ここらじゃちょいと有名だから」 てっちんがそう言うと、なぜかマーボーがドヤ顔をした。 「ホントにありがとう」 目の前に立つ3人の細目トリオに頭を下げ、僕は歩き出した。 早いとこ退散しないとマズイ状況だ。 タイムリミットがかなり迫っている。 足を引きずりながら歩き出した僕の背中に、 「ナイスファイト!!」 という言葉が投げられた。 ……また出た。 よくわからないナイスファイト。 だけど無視なんて出来ない。 僕は彼らに背中を向けたまま手だけ上に向ける。 ビシッと親指を天に向け「ナイスファイト」と叫んだ。 言い終わるとまた歩き出した。 気持ちの良い叫びだった。 .
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