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「おい。何隠れてんだよ」
岩ちゃんが机から飛び出た僕のお尻を蹴る。
ひどい。
嫌いになりそうだよ。
「真里ちゃん、誰かを探しているみたいだよ?」
太陽が言った。
誰かを探してる?
自惚れているわけじゃないけど、僕を探しているような気がしていた。
といっても、彼女が探しているのは今の僕じゃなくて“昨日の僕”だ。
冷静になると、僕が今こうして隠れる理由はないんだよね。
真里ちゃんが今の僕を見たところで、昨日一緒にいた“太郎くん”だとは思わないはずだから。
「あ、いなくなった」
太陽が実況してくれた。
「誰探してんだろうな。ちょっと聞いてみるか!!」
岩ちゃんがニンマリ笑う。
岩ちゃんは何にでも首を突っ込みたがる、でしゃばりな男なのだ。
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