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「チッ。何だよあの女。優しくしてやったのに逃げやがって!!」
岩ちゃんはぶつくさ文句を言いながら、空気を蹴る。
……ナイスファイト!!
真里ちゃん。
やだ!!
僕ったらすっかりナイスファイトを使いこなしているじゃないか。
怖い。
人間って怖いよ。
「おい太郎。アホみたいな顔してんじゃねえよ」
岩ちゃんが僕の頭をポカンと殴る。
「どうして殴るんだよ!!」
痛い思いは嫌いだ。
「お前の頭は脳みそが少ないから、殴りやすいんだよ」
なんて、ただの八つ当たりじゃないか。
岩ちゃんはイライラしたまま自分の席に座った。
「ギャオ!!」
突然、獣のような声がした。
もちろん獣は岩ちゃんしかいない。
「どうしたの?」
ニヤニヤ笑う太陽と一緒に、僕は慌てて岩ちゃんの席に駆け寄った。
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