みっつめの飴

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「おばあちゃんここで何してるの!?」 当然の質問だよね。 何勝手にくつろいでいるんだ。 「見ればわかるでしょ。お茶飲んでるのよ」 ……いや。 それはわかるよ。 「それにしてもひっどい顔。昨日相当やられてたものねえ。何度か止めてやろうかと思ったけど、生きるってことの厳しさを学ぶいい機会だと思って、放っておいたのよ」 「……ひどい」 僕があんなに痛みと戦っていたというのに、おばあちゃんは見て見ぬフリをしたんだ。 助けられたなら、助けてくれたっていいのに。 「まあまあ、過ぎたことをクヨクヨしなさんなって」 おばあちゃんは呑気にズズッとお茶を啜る。 思わずちゃぶ台をひっくり返してやりたくなった。 だけど僕は思い止まることに成功した。 そんなことをしても、意味はないのだ。 僕って大人。 自分にうっとり。 .
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