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何のことだろう。
僕は相撲なんてやっていない。
押し出し、寄り切り。
相撲技なんてもちろんできない、ただの太っちょだ。
「何て顔してんの。昨日の真里ちゃんとのことだよ」
「え?真里ちゃん?」
「そうだよ。昨日真里ちゃんが太郎に田中のことを話したでしょう?その時、なんで自分の気持ちを言わないの!!」
「え!?言えるわけないじゃん」
会って間もない僕なんかに「好き」なんて言われても、真里ちゃんは困るだけだ。
「何甘いこと言ってるの!!弱ってるときにつけ込まないでどうするつもり?強引に押し倒すくらいしなさい!!」
……おばあちゃん。
それじゃ岩ちゃんと一緒だよ。
僕はそんな、犯罪者みたいな真似はしたくない。
「僕は真里ちゃんと付き合えなくたっていいんだ。だけど、彼女には笑っていて欲しいし、幸せになってもらいたい!!」
だから
田中くんと別れて欲しいんだ。
田中くんと別れたからといって、僕なんかと付き合ってくれるはずないんだ。
最初から無駄な期待はしないし、そんなこと望まない。
そうすれば傷つかなくて済む。
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