10973人が本棚に入れています
本棚に追加
/314ページ
おばあちゃんは大袈裟に溜め息をついた。
「太郎。そんな情けないこと言って。今のあんたは最高に格好悪い男だよ」
「……だって」
僕にどうしろっていうんだ。
体型だって顔だって自信なんてない。
弱虫だし情けないし、良いところなんてひとつもない僕に、おばあちゃんは何を求めてるんだよ。
うつむいた僕の肩に、おばあちゃんは優しく手を置いた。
「太郎はイイ男だよ。昨日真里ちゃんを守ったのは誰だったのか、もう忘れたの?もっと自分を信じなさい。自分を大切にしなさい。太郎に足りないのは、勇気と自信だよ」
「……勇気と、自信?」
「そうよ。真里ちゃんが好きならぶつかっていきなさいよ。田中から奪ってやる!くらいの気持ちでいなさい。彼女には幸せになってほしい、なんて綺麗事言ってないで、自分が幸せにしてやる!くらい強気でいなさい」
「おばあちゃん……」
珍しく、おばあちゃんの言うことは正しかった。
本当は僕だって真里ちゃんと付き合いたいし、彼女を幸せにしてあげたい。
こんな僕だけど、彼女を想う気持ちは誰にも負けない自信がある。
.
最初のコメントを投稿しよう!