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どこかで泣いていないといい。
ひとりで涙を流す真里ちゃんを思い浮かべ、僕は自分に腹がたった。
どうして早退なんてしてしまったんだ。
あのまま学校にいれば、真里ちゃんのところに駆け付けてあげられたのに。
……そうだ。
このままの僕じゃダメなんだ。
真里ちゃんが知っているのはカッコイイ僕のほうで、こんな太っちょな奴じゃない。
ポケットに手を入れた。
残された飴はふたつ。
ええい!!
今は真里ちゃんを励まして力になってあげることが最優先だ。
会ったことのない僕が行くより、昨日の僕のほうが真里ちゃんだってきっと心を開けるはず。
僕は出たばかりの家にもう一度戻り、そこで飴を口に放り込んだ。
味わう前に飲み込む。
これ、鉄則。
やがていつものように体が熱くなり、僕が僕じゃなくなった。
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