みっつめの飴

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「いやだな太郎ちゃん。そんな冗談いっちゃって」 マーボーはへらへら笑いながら、僕の肩を叩く。 ……いや、冗談なんて言ってないんですが。 本当に何のことだかわかっていない僕の前に、大きな壁が立ちはだかる。 よく見ると壁じゃない。 てっちんだ。 今にも殴りかかってきそうな勢いで、唾を飛ばしながらてっちんが怒鳴った。 「てめえ、俺の妹探してどうするつもりだ!!言ってみろ!?」 へ。 「今なんとおっしゃいました?」 昨日殴られたショックで耳がおかしくなっちゃったみたいだ。 変な幻聴が聞こえてくる。 「い・も・う・とっつてんだろ!?お前バカか?」 鬼のあとは呆れ顔だ。 てっちんは細い目を器用に動かしながら、くるくる表情を変える人だ。 そして 嘘つきだ。 .
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