10973人が本棚に入れています
本棚に追加
/314ページ
「いやだな太郎ちゃん。そんな冗談いっちゃって」
マーボーはへらへら笑いながら、僕の肩を叩く。
……いや、冗談なんて言ってないんですが。
本当に何のことだかわかっていない僕の前に、大きな壁が立ちはだかる。
よく見ると壁じゃない。
てっちんだ。
今にも殴りかかってきそうな勢いで、唾を飛ばしながらてっちんが怒鳴った。
「てめえ、俺の妹探してどうするつもりだ!!言ってみろ!?」
へ。
「今なんとおっしゃいました?」
昨日殴られたショックで耳がおかしくなっちゃったみたいだ。
変な幻聴が聞こえてくる。
「い・も・う・とっつてんだろ!?お前バカか?」
鬼のあとは呆れ顔だ。
てっちんは細い目を器用に動かしながら、くるくる表情を変える人だ。
そして
嘘つきだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!