みっつめの飴

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2回も留年しているなんて考えもしなかった。 「高1を2回やって、高2もダブっちまったから、今は2回目の高2だ」 言葉が出てこない。 「まあ、うちの学校は金さえ多めに払えばダブるのなんてたいした問題になんねえしな」 細目トリオは声を揃えて笑う。 ……まさか。 いや、そんなことはさすがにないよね。 でも彼らなら有り得そうだ。 「つかぬ事をお聞きしますが、もしかしてみなさん同じように留年してます?」 「当然」と、これまたトリオの声が揃った。 僕は口をあんぐり開けたまま、ポカンとしてしまった。 でも、たしかに彼らの言う通り、僕の通う高校は何かにつけてお金で解決できちゃったりする。 西高は有名私立高校で、お金持ちしかいない。 食べ物のカスを挟んだままでいられる岩ちゃんのお父さんとお母さんは、有名な弁護士だし、 太陽に至っては、社員数万人を抱える会社の会長の息子だ。 だからある程度のことはお金と権力で解決できる仕組みになっている。 あ。 これはここだけの話だよ。 外部に洩れると問題になるから。 .
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