10973人が本棚に入れています
本棚に追加
/314ページ
移動はタクシーだった。
しかも2台に別れて乗った。
1台のタクシーに4人乗れるのに、わざわざ2つに別れるところが、さすがお坊ちゃんたちだ。
僕はてっちんと同じタクシーに乗ることになった。
だって僕、てっちんとしかまともに会話していないような気がするし。
運転手に行き先を告げると、てっちんが真剣な顔で僕を見た。
「漏らしたことは真里に秘密にしてやるからな」
何を言われるかと思えば、漏らしネタ。
「……うん。よろしくね」
そう言うしかない。
今さら「助けてもらいたくて嘘をつきました」なんて言ったところで、誰も得しない。
男は黙って諦めろ、と昔父さんに言われたことがある。
何でそんなことを言われたのかまで、思い出すことはできないのだけど、とにかく言われたんだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!