みっつめの飴

37/54

10973人が本棚に入れています
本棚に追加
/314ページ
移動はタクシーだった。 しかも2台に別れて乗った。 1台のタクシーに4人乗れるのに、わざわざ2つに別れるところが、さすがお坊ちゃんたちだ。 僕はてっちんと同じタクシーに乗ることになった。 だって僕、てっちんとしかまともに会話していないような気がするし。 運転手に行き先を告げると、てっちんが真剣な顔で僕を見た。 「漏らしたことは真里に秘密にしてやるからな」 何を言われるかと思えば、漏らしネタ。 「……うん。よろしくね」 そう言うしかない。 今さら「助けてもらいたくて嘘をつきました」なんて言ったところで、誰も得しない。 男は黙って諦めろ、と昔父さんに言われたことがある。 何でそんなことを言われたのかまで、思い出すことはできないのだけど、とにかく言われたんだ。 .
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10973人が本棚に入れています
本棚に追加