みっつめの飴

41/54

10973人が本棚に入れています
本棚に追加
/314ページ
真里ちゃんはすぐに見つかった。 昨日僕と並んで座ったベンチにひとり静かに腰掛けている。 「真里ちゃん」 思わず声をかけた。 真里ちゃんの笑顔が見たいのに、彼女は目の縁を真っ赤に腫らした顔で僕を見上げ弱々しく笑った。 「ここにいれば太郎くんに会えるかなって思ったの」 胸がギュンと掴まれた気がした。 なんて可愛い台詞なんだ。 僕は嬉し過ぎて一瞬言葉をなくしてしまった。 「ぼっぼく……」 「おう!真里、元気か!?」 被せるようにして、てっちんの声がした。 ……そんなぁぁぁ。 “僕も真里ちゃんに会いたかった”。そう、彼女に伝えたかったのに。 僕の勇気はあっけなく散った。 .
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10973人が本棚に入れています
本棚に追加