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「太郎、大きくなった……って!太り過ぎてるじゃないの!!」
やがて消え去った煙の先にいたのは、死んだおばあちゃんで。
よく通る声も、もちもちした肌も芋虫みたいな手も健在だった。
僕の太りすぎた体を凝視すると、おばあちゃんは今にも落ちてしまいそうなほど目を見開いた。
「本当に太郎なのかい?」
そして、疑った。
「おばあちゃん。僕だよ。太郎だよ」
「……」
信用出来ないらしい。
「僕、おばあちゃんの最期の言葉言えるよ。好き嫌いしないで何でも食べなさいって言ってくれたよね?」
「いや、違うねえ」
「へ?」
「それは最期から二番目に言ったことだよ。最期の言葉は“じいさん、やっと会えるね”だよ。天国にいるじいさんに向けて言ったんだ」
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