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「太郎くん、昨日は自分だけ逃げて本当にごめんね。顔、そんなになっちゃって……」
トリオが見えなくなると、真里ちゃんは今にも泣き出しそうな顔で僕を見た。
目の縁はまだ真っ赤で、本当に泣いているように見える。
「僕は真里ちゃんを守ることができて満足してるんだ。この傷は勲章だよ」
「太郎くん……」
今度は本当に泣き出してしまった。
うつむいて静かに涙を流す真里ちゃん。
小さな肩が震えている。
守りたい、と思った。
こんな僕だけど、真里ちゃんのことを守ってあげたいと、強く強く思った。
「真里ちゃん」
僕は彼女の体をそっと抱きしめていた。
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