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うん。
結局嫌だったわけね。
ちょっぴり傷ついたマイハートだけど、気にしないことにした。
僕の心は体同様脂肪に覆われていて、ちょっとやそっとのことでダメージを受けないようになっている。
いちいち気にしていたら生きていけないと、母さんに言われてきたおかげだ。
「とりあえず座って話そ」
真里ちゃんはそう言うと、昨日と同じベンチに僕を座らせた。
見える景色は変わらないのに、僕の気持ちは昨日とはまったく違っている。
「今日大変だったみたいだね」
「うん。誰かが田中くんと笹山先生のこと言い触らしたみたい」
「僕じゃないよ」
必死にかぶりを振った。
僕は田中くんと笹山先生の関係を知っている。
だからといって、僕が他人にバラしたわけじゃない。
「わかってるから大丈夫だよ。太郎くんはあたしにすら秘密にしようとしてくれたじゃない。他人に話すわけないよ」
そう言われてホッとした。じゃあ誰がバラしたんだ、という話だけれど、それは神のみぞ知るってところか。
「これからどうするの?」
今まで通り田中くんと付き合っていくつもりなんだろうか。
僕には真里ちゃんの気持ちがまったくわからなかった。
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