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「別れようと思ってるの」
真里ちゃんの言葉に迷いはなかった。
ハッキリとした口調で「別れる」と言い切った。
内心ガッツポーズをしてしまった。
これで、ほんの少しだとしても、僕にも真里ちゃんと付き合えるチャンスがあるってわけだ。
「昨日太郎くんと話してスッキリしたの。だから今日あんな噂が広まらなくても、田中くんとは別れるつもりだったんだ。こんなふうに決心できたのは、太郎くんのおかげだよ」
真里ちゃんは晴れ晴れとした明るい顔で微笑む。
何のアドバイスも気の効いた台詞も言えないこんな僕のおかげだと、彼女は言ってくれた。
……今なら泡になって消えてもいい。
こんなに嬉しいこと、今まで生きてきて一度もなかった。
うん。
これが一番だなんて、
僕の18年間、非常に残念だ。
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