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真里ちゃんに限って見た目で人を差別したりしない……と思いたい。
「太郎くんどうしたの?」
肌色の物体が揺れる。
真里ちゃんが僕の目の前で手を揺らしている。
「……真里ちゃん」
本当のことを言ってしまおう。
飴はあとひとつしかないんだ。
遅かれ早かれ本当の姿を見せなきゃいけなくなる。
それなら、早く話してしまったほうがいい。
「……実は……僕……」
喉の奥まで出かかった言葉たちは、ちょこっと顔を覗かせただけで、再び引っ込んでしまう。
……ちくしょー。
冷たくされるのが怖い。
本当の僕の姿を知ったときの真里ちゃんの反応が怖くて、真実を話すことを拒否する僕がいる。
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