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「なに?」
「……ううん、なんでもないよ」
結局僕に勇気なんかなくて。
いつかバレるであろう事実をもう少しの間隠すことにした。
そもそも、何て伝えればいいのかわからない。
『死んだおばあちゃんがある日突然現れて、僕に飴をくれたんだ。その飴を食べるとあら不思議、イケメンになれちゃうんですー。さいこー!!』
……非現実的過ぎるでしょ。
不思議な飴じゃなくて、白い粉を使用している疑惑が浮上してしまう。
それは困る。
僕は潔白だ。
真里ちゃんは携帯電話を開き何かを確認すると、心配そうに僕の顔を覗きこんだ。
「太郎くん、何か心配事があるなら話して欲しいな」
「真里ちゃん」
ああ。
なんて優しいんだ。
やっぱり真里ちゃんは僕の女神さまだ。
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