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ていうか、どうして僕がこんな目にあわなきゃいけないんだ。
変身した見ず知らずの僕に暴力をふるうなんて、岩ちゃんは昨日の武将たちと同じじゃないか。
今にも沸騰しそうなほど興奮していた僕に、真里ちゃんが心配そうに訊いた。
「この人たち太郎くんのお友達?」
……お友達。
こんなひどいことをするふたりだけど、間違いなく僕のお友達だ。
だけど今の僕にとって彼らは他人。
嘘をつくのは心苦しいけど、今はこう言うしかない。
「友達じゃないよ。全然知らない人だよ」
それを聞いた岩ちゃんと太陽の驚いた顔があまりにも不細工で、思わず吹き出しそうになった。
一体何に驚いているのかよくわからないけど、とにかくビックリしたことがあったらしい。
まあ、関係ないことだよね。
はあ、と岩ちゃんの溜息が聞こえた。
「……つーか太郎、お前いつからボケたんだよ」
と、呆れたようにつぶやく。
僕はその時見てしまった。
岩ちゃんの前歯に、今日は黒い粒が付着している。
あれは何だ!?
コショウか!?
ブラックペッパーなのか!?
一度目につくと気になってしまう。
こんなことなら最初から見つけたくなかった。
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