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僕は今、おばあちゃんから貰った不思議な飴の力でイケメンになっているはず。
それなのにどうして“太郎”という名前が出てくるんだ!?
目の前の筋肉マッチョな岩ちゃんを見つめる。
いつもは少し見上げなきゃいけないのに、今日は見上げなくても目が合う。
それが何よりの証拠だ。
僕は確実に変身している。
でも、訊かずにはいられない。
「い……岩ちゃん、僕がわかるの?」
ごくり、と喉が鳴る。
否定してくれ。否定してくれ。
祈るような気持ちだった。
「お前何言ってんだ?わかるに決まってんじゃん。俺たち親友じゃねーか」
ニカッと黒い粒を主張させ、普通なら言われて嬉しいはずの台詞を言った岩ちゃん。
だけどね、
今の僕にはまったくもって嬉しくない。
僕はひとりで勘違いをしていたのか?
まさか。
まさか僕は……
変身していなかったの?
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