僕が僕だった日

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こんな時に立ち上がれないなんて、惨めだ。 おばあちゃんはそんな僕を一瞥し、鼻で笑う。 「体が重いからそんなことになるんじゃないかねえ」 間違いなく嫌味だ。 おばあちゃん、いつからそんな嫌な人間になったんだよ。 天国は人間性を悪くさせる場所なのだろうか。 僕は足を摩りながら、必死におばあちゃんを睨んだ。 「あら、太郎。何かあったの?」 おばあちゃんは何食わぬ顔でお茶をすする。 「何かあった、じゃないよ!!よくも僕を騙したな!!」 「騙した?人聞きが悪いことを言う子だねえ」 おばあちゃんはちゃぶ台に唾を飛ばしながら言った。 僕は飛び散った唾をティッシュで拭う。 だってほら、気になるし。 .
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