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ずずーっと一気にお茶を飲み干したおばあちゃんは、ゆっくりと僕のほうを見た。
「あの飴の仕組みにやっと気がついたんだね」
「気がついたんだねって……。やっぱりおばあちゃんは知ってたんだね?知ってたのに、どうして教えてくれなかったんだよ!?」
拳でちゃぶ台を叩いた。
そのたびにちゃぶ台がガタンガタンと音をたてる。
「おばあちゃんひどいよ」
俯いたら泣いてしまいそうだった。
こんなことで泣きたくないのに、悔しさが込み上げて止まらない。
「太郎、どうして泣くの?あの飴のおかげで大好きな真里ちゃんと仲良くなれて、何が不満だっていうの?」
「それは……」
言われてみるとその通りだ。
あの飴があったからこそ、僕は真里ちゃんと同じベンチに座り、同じ時間を過ごすことができた。
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