僕が僕だった日

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「どういうこと?」 話がまったく読めない。 岩ちゃんは「お前はホントに馬鹿だなあ」と大袈裟に溜息をつき、 「真里のとこ行くんじゃねーの?送ってくって言ってんだよ」 と自分の後ろを親指で指さした。 岩ちゃん。 もの凄く爽やかぶっているけど、全然爽やかじゃないよ。 むしろ溶けだしたチョコレートのようにベタベタだ。 そんなことより。 「真里って呼び捨てにしないで!!」 キーッ!! 馴れ馴れしいにもほどがある。 顔が真っ黒に焼けているからって、そんなこと許されないんだぞ!! 「ったく、いちいちうるさいデブだな。はいはい。わかりましたよ。呼び捨てはしねーから、早く乗れ」 「岩ちゃん……」 話せばわかってくれる。 やっぱり岩ちゃんは僕の親友だ。 ……と、その前に確認しなきゃ。 「太陽は?」 見渡してみても太陽の姿はない。 「あいつは習い事に行ったよ。今日は三味線だとよ」 三味線……か。 太陽は一体いくつ習い事をしてるんだろう。 永遠の疑問だ。 .
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