僕が僕だった日

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自転車は重い僕を乗せながら、右に左にふらつきながらも目的地に到着した。 「ここが真里ちゃんの家?」 見上げてみると、大きな家がそびえ立っている。 僕の家も大きいけれど、同じかもしくはそれ以上といえるくらい立派な家が目の前にあった。 「さあ、行こうぜ!!」 岩ちゃんは闘牛のように息を荒くさせ、鼻の穴を広げる。 ……岩ちゃんが張り切る必要はまったくもってないのに。 でも岩ちゃんのおかげでここに辿り着けたのは事実だ。 「岩ちゃん、ありがとう」 素直にお礼を言った。 岩ちゃんは少し照れながら、 「お礼はオッパイでかえしてもらうわ!!」 と心底嬉しそうに笑った。 ……オッパイ。 嫌な記憶が蘇る。 また僕のオッパイや乳首にあんなことやこんなことをするつもりなのか。 ダメだ。 今は未来の心配をしている場合じゃない。 乳首のことを頭から振り払い、僕は大きく深呼吸した。 .
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