僕が僕だった日

32/49
前へ
/314ページ
次へ
悪いクスリをやっているイカレタ奴だと思われるかもしれない。 それでも、聞いて欲しかった。 真里ちゃんから見た僕は僕のままだけど、 僕自身、今の僕の姿を見せるのははじめてだから。 真里ちゃんは真っ赤な飴を手の平に乗せ、色んな角度から見ている。 そして言った。 「すごい飴だね!!」 ぱあっと咲き誇る、花のような笑顔だった。 「信じてくれるの?」 声が震えてしまう。 だって、絶対信じてもらえないと思ったから。 「ばーか。お前はデブで運動オンチで頭も悪いけど、嘘をつける奴じゃねーことは俺がよく知ってるよ」 「岩ちゃん……」 目頭が熱くなる。 「僕……僕……」 情けないけど、僕は泣いていた。 大好きな女の子を前に、メソメソ泣いていた。 .
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10973人が本棚に入れています
本棚に追加