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悪いクスリをやっているイカレタ奴だと思われるかもしれない。
それでも、聞いて欲しかった。
真里ちゃんから見た僕は僕のままだけど、
僕自身、今の僕の姿を見せるのははじめてだから。
真里ちゃんは真っ赤な飴を手の平に乗せ、色んな角度から見ている。
そして言った。
「すごい飴だね!!」
ぱあっと咲き誇る、花のような笑顔だった。
「信じてくれるの?」
声が震えてしまう。
だって、絶対信じてもらえないと思ったから。
「ばーか。お前はデブで運動オンチで頭も悪いけど、嘘をつける奴じゃねーことは俺がよく知ってるよ」
「岩ちゃん……」
目頭が熱くなる。
「僕……僕……」
情けないけど、僕は泣いていた。
大好きな女の子を前に、メソメソ泣いていた。
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