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はあ。
朝から何回目の溜息だろう。
ざっと数えて30回くらい……だと思う。
僕は頬杖をついたまま窓の外を眺め、31回目の溜息を吐く。
昼休みだっていうのに、僕は自分の席に座ったまま動かないでいる。
「辛気臭せーなあ!!」
出た!!
狂った黒い人間、岩ちゃんの登場だ。
「もう。放っておいてよね」
僕は岩ちゃんからプイと顔を逸らし、再び窓の外に視線を戻す。
空は青い。
雲は白い。
そして岩ちゃんは、今日も真っ黒だ。
「まあまあ、そう言うなって!!どうせあの女のことだろ?言ってみろよ」
……あの女って。
真里、と呼び捨てにされるよりはマシかな。
岩ちゃんに真里と言われると、無性に腹がたつ。
「タロちゃん言ってみなよ。少しはすっきりするかもしれないよ?」
「太陽……」
血管の浮き出た青白い顔を覗かせて、太陽がやってきた。
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