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岩ちゃんと太陽に今の僕の悩みを言ったところで、絶対に解決はしない。
それでも、ひとりでうじうじ悩むよりはいいかもしれない。
実際岩ちゃんには友達以上の関係を築いた、ユマさんという彼女がいる。
僕は正直な気持ちをふたりに話した。
友達になれたことは嬉しい。最初はそれだけで満足だった。
それなのに、最近はもっと真里ちゃんと仲良くなりたいと思う自分がいる。
どんどん欲張りになっていく。
そんな自分が、たまらなく嫌だった。
「つーか、それって当たり前の感情じゃねーの?」
僕が32回目の溜息をついたと同時に、岩ちゃんが言った。
「当たり前なの?」
太陽に訊いてみる。
「いや、僕はわからないよ。恋愛経験なんてないし」
「……たしかに」
太陽は僕よりも恋愛に疎い。
どうせ親に決められた相手と結婚するんだからと、恋愛することを諦めている。
それを寂しいと思っていない太陽は、本当に誰かを好きになったことがないらしい。
もし本気で人を好きになったら、簡単に諦めきれないと思うから。
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