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こんなことで怯んでどうするんだ!?
心の中でもうひとりの僕が叫ぶ。
強い、僕だ。
……やっぱり僕には高嶺の花すぎるのかもしれない。
そもそも真里ちゃんと僕じゃ、まったく釣り合わないじゃないか。
弱い、僕。
そんなふうに教室の前でひとりうつむいていると、誰かとぶつかった。
「きゃっ」
女子生徒だ。
ドアの前にボサッと立っている、僕が悪い。
「ごめんなさい!!」
すぐさま頭を下げた。
その声が思いのほか大きかったせいか、教室中の生徒の視線が僕に集まった。
みんなが何事かと眉をひそめる中、真里ちゃんだけは違った。
花のような明るい笑顔で、
「太郎くん!!」
と嬉しそうに笑った。
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