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「……想像すると吐きそうになる」
勝手に盛り上がる岩ちゃんとユマさんを一瞥して、太陽がつぶやく。
「同感だね」
親友とその彼女の情事なんて、想像したくもない。
「そ、それで、太陽くんも一緒で……。それから先は?」
真里ちゃんは、廊下でイチャつきはじめた岩ちゃんたちを視界に入れないよう背中を向けると、僕に向き直る。
「あ、うん。太陽も一緒に行くんだけど、女の子がひとり足りなくなっちゃうんだ……。ほら、岩ちゃんにはユマさん。僕には……その……真里ちゃん……がいるし」
真里ちゃん、と言う声が小さくなってしまった。
なんだかこれじゃ、僕と真里ちゃんがカップルみたいじゃないか。
そう思うと、ドキドキが止まらない。
「そっか。そうだよね。じゃあ、あたしの友達をひとり誘えばいいのかな?」
彼女はごく自然に答えを導き出してくれた。
嫌な顔ひとつせず、にこりと笑いながら。
「ありがとう!!本当に助かるよ!!」
「ううん。大勢のほうが楽しいし、それに……」
真里ちゃんはちらりとユマさんを見る。
「彼女と仲良くできるか不安だもの」
うん。
ごもっとも。
岩ちゃん以外にユマさんと合う人なんているんだろうか。
いるなら見てみたいものだと思う。
こうして僕たちの遊園地デートが決まったのだった。
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